2010年10月30日土曜日

静かな臨界の作用

続いてNAP2010グループ展より、9人目のご紹介最後の作品は、

「光の臨界」



中橋祥行氏による発砲スチロールと接着剤を使って制作された作品です。

物体の内部からの光の漏れによって見えてくるカタチは、外から照らし出された時よりも、その形態の特徴が知覚されやすくなります。






内側からのエネルギーの臨界によって照らし出された形態。

観るものに荘厳な印象を与えます。





昼と夜では同じ場所の雰囲気も違って見えてくるように、
普段の風景も、太陽の光で照らされている時と建物等の内部からの光によって照らし出される時とでは、同じもののはずなのに印象が変わってきます。

内面からの輝き。

土地も人も、内側からのエネルギーを感じさせることによってその特徴と魅力が浮かび上がります。


「ザ・great 盆地 フロンティア」
その精神によって今回奈良アートプロムに集まった200名を越える作家達のエネルギー。


その一つ一つが奈良盆地の発する内側の輝き、そして瞬きとして集結していました。

その内側からの光はどのような奈良を浮かび上がらせたのでしょうか。

産業や観光とはまたひと味違う奈良の表情が映し出されたことを願います。



奈良を照らす明かりの一つとして、
現代美術という照明を、
来場者だけではなく近隣住民の皆様がなんだか気に入ってくれていた様子が印象的でした。

NAPにとってもかけがえのない財産となりました。


今回ビルを提供して頂いたカイナラタクシー様、
本当にありがとうございました。





(中橋氏によるカイナラビル屋上でのインスタレーション)







中橋 祥行 (なかはし よしゆき)


タイトル
『 光の臨界 』
発泡スチロール、蛍光灯

コンセプト
物を観察する時、外部からの光によってその本質を見極めようとします。
しかし内部(外部との閉鎖的な空間)から光を照らすことにより透過・反射して見える光は同じものでありながら全く違った印象になりその要素や特徴をより強調し新たな空間へと変化します。
箱の内の空間・外の空間・それを繋ぐ光との関係がテーマにある境界を越えていく力、また外に出て見えてくるもの、との言葉と呼応し作品の印象と重なり合うように思います。
    ■略歴:
  • 1997年 御堂筋ギャラリー展
  • 1998年 御堂筋ギャラリー展
  • 2000年 茂展
  • 2001年 茂展
  • 2002年 茂展
  • 2003年 茂展
  • 2004年 茂展
  • 2005年 茂展 からほりまちアート
  • 2006年 からほりまちアート 現展
  • 2007年 からほりまちアート 現展
  • 2008年 からほりまちアート 現展  個展(天籟宮)
  • 2009年 からほりまちアート 現展
作品画像_中橋祥行-01
作品画像_中橋祥行-02


2010年10月28日木曜日

不要、必要、その場所へ

大人の皆様へのある場所へのご招待。


 




大人とは?

定義はいろいろありますが。

社会的な関わりも持たない事の方が難しい現代において、
常に自覚を求められる事は苦痛と快感はある意味隣り合わせではないでしょうか。

自分で決めている人も少なくないですが。

苦痛と快感。

明確にとらえる事が出来るのは、その場所があるから。

時々とか毎日。

何時。

そしていつか。






様々な物事のある途中からは自分の世界。

いつでも誰でも実はそうなのではないでしょうか。

その場所へ行く方法は人によって様々。

心の場所へは歩いていけない所もあるような。

そんなときは乗り物のフォルムが意外と大事かもしれません。

皆さんは何に乗りますか?


クニト (くにと)


タイトル
『 Spaceplane Type-N 』
磁器(ニッコー株式会社提供)、磁土、FRP樹脂、ガソリンエンジン、モーター、フラッシュライト、4点式シートベルト、モニター、他

コンセプト
今の大人にとっての秘密基地とは何だろうか。居場所はどこにあるのだろうか。社会の中に居場所を持ったとき秘密基地は不要になる。そして、社会との関係から逃れるすべをなくすのかもしれない。地球を出たとき新たな秘密基地(居場所)ができるのかもしれない。
20××年、僕は宇宙船に乗り込み、新たな世界を探すたびに出た。
    ■略歴:
  • 2003年 個展(アートドラックセンター/愛知県犬山市)
  • 2007年 金沢美術工芸大学大学院 陶磁コース修了
  •       滋賀県陶芸の森アーティストインレジデンス スタジオアーティスト
  • 2010年 第13回岡本太郎現代芸術賞 入選

作品画像_クニト




2010年10月25日月曜日

表層と裏側、そしてロマン

続いてのご紹介は、
カイナラビル2Fより




「聖闘士降臨劇場 五体不満足のロボットシリーズ」
(写真奥の平面作品)


隙間の作り方、画面構成のセンスに圧倒されました。
何ともいえない完璧さ。

松本侑也氏による大きなクラフト紙に描かれた作品です。


表層とその裏側との一体感が迫ってくるような独特の雰囲気。



作品に中に存在している何者かの心理を感じずにはいられません。


作家の取り組みは、私たちにとって普遍的もの、そして表層を形作る、ある意味裏となってしまう部分の重要性を再認識させてくれます。

“あたりまえ”が難しくなってしまうこと。

そんな時に思い出したい意識の働き。

作品には様々なエッセンスが散りばめられています。




松本 侑也 (まつもと ゆうや)

1986年 兵庫県姫路市出身
2008年 成安造形大学 造形美術科洋画クラス卒業
現 在  大津清陵高校馬場分校 美術非常勤講師

タイトル
『 聖闘士降臨劇場 五体不満足のロボットシリーズ 』
クラフト紙にボールペン、アクリル、パステルなど

コンセプト
ウルトラマン、エヴァンゲリオン、ガンダム。それらのアニメに出てくるヒーロー(主人公)は皆、かっこいい反面、自分の定められた人生に悩み、苦しみ、そして力強く生きています。見る人はそこに共感し、その生き様が物語を作る上でのポイントになるのです。その裏側にこそ私たちが日頃大っぴらに主張することのできない大事なエッセンスがあるのです。私の絵にも必ず、人には言えない大事な***が隠されているのです。
作品画像_松本侑也

2010年10月23日土曜日

印象、心象、観賞 

作品を見た際に受ける印象は人によっても様々ですが、その佇まいやタイトルなど、観賞者は手がかりを意識します。

現代美術のジャンルにはNO TITLEというタイトルも多く存在しますが、NAP2010
グループ展より今回ご紹介する作品は、





「手紙」。



手がかりとなるのは日常の記憶。

と、

私たちが普段通り過ぎている風景の一部、

をまるで切り取ったかのような。




見る人の心の温度を揺さぶる作品は体温との差が大きいものとは限りません。




血液が流れ水分が巡っている私たちのからだ。
その温度と近い作品ではないでしょうか。




noil noir (ノイル ノワール)


タイトル
『 ~手紙~ 』
立体インスタレーション(木製パネル、布)

基本コンセプト
奈良には、海も湖も大きな河も無い。あるのはため池ばかり。
水の流れのないことは、時間の流れを人々に感じさせなくなる。
時間が止まってしまったのではないかと思うほど、変化のない街は不気味。
水の流れをつくることは、時の流れ、人の流れ、文化の流れ、気の流れ、を創ることに繋がっていくだろう。
そして、それは私たちの心を整理し清らかにしてくれるはずだ。

展示コンセプト
この地(奈良)の過去 現在、未来へむけて、手紙を書く。
過去への手紙は、夕陽が沈む時に灰になるまで燃やし西の風に託す。
現在への手紙は、正午の時に大地に託す。
未来への手紙は、朝陽が昇る時に灰になるまで燃やし東の風に託す。
この儀式を再現したものを、展示しようと考えます。
作品画像_noil_noir-01
作品画像_noil_noir-02

2010年10月20日水曜日

発芽 カイナラビルグループ展より(続き)

NAPグループ展、続いてのご紹介は藤川奈苗氏による平面作品。

会場となったカイナラビルは、築50年余のレトロな建物です。

藤川氏の作品を覗いてみると、




まるで壁を耕したかのような画面。



そこには、その土壌のもつ可能性と希望。


そして作家の感性によって蒔かれた種が吸収すべく栄養素。

作品の前に立つと、その発芽を待つ感覚を共有できる時間が流れていました。


「ザ・great 盆地 フロンティア」

今回NAP2010の第一回目の開催にあたってのキャッチフレーズです。

今回参加作家、実行委員がとても大切にしてきたテーマ。

「寧楽」、その根底にある確かな豊かさ。

手入れは必要ですが、この土地で蒔かれた現代美術という種は確かに発芽しています。

時々は水を、たまには肥料を与えるのは、鑑賞者なのかもしれません。

そしてそこに住む人々。


NAP ツカヤマ



藤川 奈苗 (ふじかわ ななえ)

1980年 大阪府生まれ
2003年 京都造形芸術大学洋画コース卒業

タイトル
『 The small room 』
平面/絵画 カンヴァスに油彩

コンセプト
家の近くの島のような古墳の森にひかれ、
その下にある小さな部屋と自分の心の奥の部屋とを重ね、
記憶の壁を制作してきた。
今回NAPグループ展にあたり、
長い年月を経た石壁のすき間から植物が芽生えるように、
私の中でも昔と今現在の記憶を通して生まれてくるものが成長して部屋からあふれ、
古墳のように上部に豊かな森をつくるような、
内なるエネルギーを蓄えたものを描きたい。
    ■個展:
  • 2004年 Gallery Den (大阪)
  • 2006年 Gallery Den (大阪)
  • 2009年 ギャラリー白 (大阪)
    ■グループ展:
  • 2003年 ART UNIV 大学合同展覧会 (キャンパスプラザ京都)
  • 2004年 Visual sensation (Gallery Den)
  • 2010年 SUPER PAINTINGS VOL.2 (ギャラリー白)

タイトル:西/2009年制作
タイトル:つきあたりの部屋/2010年制作

2010年10月18日月曜日

カイナラビル グループ展より(続き)

続いてNAP2010グループ展より、4作品めのご紹介は、

谷内薫氏による立体のインスタレーション作品、






「懐」


ある一定の方向性の基盤があるからこそのねじれ。

佇む作品達を眺めていると、

このねじれが作り出した一つ一つの巻き込みの入り口を、自分の中の何かが勝手に出かけていって、立ち止まって覗きこんでいるような。




静の中の動。

あるいは、“動の中の静”。

視覚に触覚が混在して、

目で触る、ような感じ。


素材と形態の関係が人に与える作用、その繊細さとある程度の共通さは言語の枠を飛び越えて私たちに備わっているもの。

その働きを、もっと日常で。


NAPツカヤマ





谷内 薫  (たにうち かおる)

1983年 奈良県に生まれる
2006年 京都精華大学芸術学部
      デザイン学科テキスタイルデザインコース卒業
2007年 奈良・京都で陶芸を学ぶ
2008年 滋賀県立陶芸の森
      アーティスト・イン・レジデンスプログラム スタジオアーティスト

タイトル
『 懐 』
半磁土・陶芸

コンセプト
気配———人が感じる形なきカタチ。

動き、流れ、音…
時間、温度、湿度、におい…
繋がり、距離…間…

確かに存在する目には見えないそれらにカタチを与える。

『在ル』カタチ。
    ■個展:
  • 2008年 谷内 薫 展(ギャラリーマロニエ・京都)
  • 2009年 谷内 薫 展(ギャラリー白・大阪)
  •       谷内 薫 作品展(arton art gallery・京都)
  • 2010年 谷内 薫 作品展‖(arton art gallery・京都)
  •       谷内 薫 展(ギャラリー恵風・京都)
    ■グループ展:
  • 2008年 まちなかアートin信楽2008(ギャラリー蓮月・滋賀)
  •       現代美術小品展(ギャラリーSUZUKI・京都)
  • 2009年 第20回日本陶芸展 入選
  •       第27回朝日現代クラフト展 入選
  •       第29回長三賞現代陶芸展 入選
  •       New Friends, Art and Adventure : A Ceramic Art Exhibition
          (オーストラリア国際交流基金ギャラリー・シドニー)
  •       NAPプレ展覧会(CASO・大阪)
  •       星に願いを(neutron tokyo・東京)
  •       現代美術小品展(ギャラリーSUZUKI・京都)
  •       第回49日本クラフト展 入選
  • 2010年 陶芸の提案2010(ギャラリー白・大阪)
  •       それぞれの風景展(アートスペースかおる・兵庫)
  •       アートフェア京都(ホテルモントレ京都・京都)

作品画像_谷内薫-01
作品画像_谷内薫-02

2010年10月15日金曜日

はじまり〜の続き グループ展より カイナラビル

築50年のカイナラビルで開催されたグループ展より。
続いてご紹介の作品は、





「千回のおじぎをするアートワーク」。


東京在住の作家、三田村龍伸氏の作品。

今回NAPグループ展参加にあたって、この奈良という土地にとても真摯に向き合って頂いた作家の一人です。


土地のもつ作用を、三田村氏は自身の持つフィルターを通して、目に見える形にしました。

奈良はシルクロードの終着駅。

このような作品が産み出された事、奈良の良さ、現代美術というあいまいな存在の必要性、
その良さ。何か、とても実感させられます。

下記は作家による作品コメント

「千回のお辞儀をするアートワーク」は名前の通り、千回のお辞儀をするパフォーマンスを行う映像作品である。奈良といえば、日本最古の仏教都市である。その奈良で現代アートを展開する時、仏教的なものを自分の中にインストールしたいと考えた。仏教の修行では千回何かをするという形式を持つものが珍しくない。例えば、千日修行や千回題目(念仏)を唱える。千回滝に打たれる、などである。千回のお辞儀は相手を尊び、自分を尊び、生きる事への感謝。命の連鎖への感謝へと続くだろう。
 お辞儀という行為は、「挨拶」、「反省」、「謝罪」、「尊敬」など様々な意味を内包している。今回は相手を尊ぶ気持ちを持ってのお辞儀を展開する。そして相手を尊ぶ行為が、「自分の物性を磨く行為としての修行をする」パフォーマンスにつながるよう展開していく。映像だけをミルと謝罪をしているように見えるが一番の目的は感謝の表出にある。
 最近迄生きてきた事に素直に感謝するようになってきた。自然や草木、動物、親や兄弟、友人や先生など、周りの人・もの・事との「つながり」を意識するようになってきた。
美術を続けることの大変さを身に染みて、幾度も『これでいいのか、このような生き方でいいのか』と疑問を感じて来た。そう思うほど、自分の家族や応援してくれている人に対して感謝の気持ちを抱くようになった。
 作品は「行為」の部分にあるが、映像作品として発表する。映像は編集で嘘をつく事が可能だ。だからこそ、取り直しは一切行っていない。一度一度のパフォーマンスはNGを含め、撮影している。スポーツの世界で「やり直し」がきかないのと同じような緊張感をもって行為を重ねた。

 千回のお辞儀をするというアイディアに至った経緯は上記したが、正直やりはじめた頃は千回までの数が途方もなく感じられ、自分で設定した目標に対し、絶望的な気分を味わっていた。『これ、ちゃんと終わらせられるのかな』と何度思ったか分からない。パフォーマンスの後、映像編集も入ることを考えると心配事が多かった。
 しかし、だからこそ、やる価値があったのだろう。NAPグループ展には「ザ・great 盆地フロンティア」というキャッチフレーズがついていた。日本最古の古都奈良に「開拓精神」、「チャレンジ精神」、「改革精神」そんなものを展開していこうとしているのだとすぐに察知した。僕はこのテーマに沿った作品を作りたいと強く意識した。だからこそ、僕も今までやったことのないことに挑戦してみようと思った。失敗したっていいじゃないか、挑戦しないよりは。パフォーマンスでやってみようという気持ちになった。

 千回のお辞儀は無事達成された。この作品を見た人も達成感が感じられることと思う。
そしてパフォーマンスだけをみると謝罪をしているのか、感謝をしているのか。ヘットハンティングをしているのか分からない。この解釈の多様性も本作品の面白さの一つと考える。
 (原文ママ)




人と人、それに限らず、自分と対象。

その間を私たちは何で埋めて渡っているのでしょう?



NAP ツカヤマ

つづく。

三田村 龍伸 (みたむら りゅうしん)

1980年 神奈川県に生まれる
2005年 日本大学芸術学部美術学科彫刻コース卒業
2007年 日本大学院芸術学研究科博士課程前期課程修了
      湯川制賞授賞(日本大学大学院芸術学研究科博士課程前期修了最優秀賞)
2010年 日本大学院芸術学研究科博士課程後期課程在籍中

タイトル
『 千回のお辞儀をするアートワーク 』
映像

コンセプト
「千回のお辞儀をするアートワーク」は名前の通り、1000回のお辞儀をするパフォーマンス。
仏教の古都、奈良で現代アートを展開するので仏教的なものを意識する。
お辞儀という行為は「感謝」、「挨拶」、「反省」、「謝罪」、「尊敬」など様々な意味を内包している。
今回は相手を尊ぶお辞儀を展開していきたい。
そして相手を尊ぶ行為が「自分の仏性を磨く行為としての修行をする」パフォーマンスにつながるよう展開していく。
    ■展示略歴:
  • 2003年 三田村龍伸展(東京・練馬 A&Dギャラリー)
  • 2006年 「越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭2006」の脱皮する家の制作チームにweb班、撮影班、実制作班として参加(新潟・十日町 脱皮する家)
  • 2006年 よみがえった明治建築(東京・上野 東京国立博物館表慶館)
  • 2007年 みるみる手をつなごう展(青森・八戸 八戸市美術館)
  • 2008年 「2008 新春 現代の絵馬展」出品&展示ディレクター(東京・京橋 東邦画廊)
  • 2008年 破壊と再生-パレスチナと日本の子どものアートコラボレーション(神奈川・横浜 JACA横浜)
  • 2008年 「相模川野外アート展 WaterLink 2008」出展(神奈川・相模原 相模湖周辺・相模湖交流センター)
  • 2008年 サウンダラアートにて映像上映(東京・新宿区 初台オペラシティー)
  • 2009年 「2009 新春 現代の絵馬展」出品&展示ディレクター(東京・中央区 東邦画廊)
  • 2009年 「第4回 越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭」参加作家(新潟・十日町市 キナーレ)
  • 2009年 「Re view」(東京・新宿 新宿眼科画廊)
  • 2009年 「うちにもって帰ろう! 映像アンデパンダン展」(神奈川・横浜 BankART Studio NYK 1F)
  • 2010年 「2010 新春 現代の絵馬展」出品&展示ディレクター(東京・京橋 東邦画廊)
  • 2010年 アーティストインレジデンスプログラムに参加(神奈川・横浜 BankART Sutudio NYK 3F)
  • 2010年 「Spring Open 2010 BankART AIR Program」アーティストインレジデンスのオープンスタジオ企画(神奈川・横浜 BankART Sutudio NYK)
  • 2010年 夏の福袋2010「森塾アートワーク」(神奈川・茅ヶ崎 茅ヶ崎市美術館 展示室3)

作品画像_三田村龍伸-01
作品画像_三田村龍伸-02

2010年10月14日木曜日

はじまり〜の続き グループ展より

レトロビルで行われたNAPグループ展。
続いての作家、三好剛生の作品のご紹介。

3階に上がるとそこには群れが。


近づいてみると、
ペンギンさんでした。


その存在は圧巻。

一羽一羽の表情や、注意の向きも一つとして同じものがない。

その手がかりからは、当たり前のようで、でもなかなか視覚的にはとらえにくい身近な環境を提示してくれているかのよう。

奈良は寒くて暑いところ。
ペンギン達にとってのアイランドが、ここにもあるはず。


寒さにたえるだけじゃないはず。


つづく



NAP ツカヤマ



三好 剛生 (みよし つよき)

1979年 奈良県生まれ
2004年 広島市立大学芸術学研究科・博士前期課程修了
2005年 広島市立大学芸術学部・研究生
2007年 奈良県美術展 県展賞

タイトル
『 群想図 』
石膏

コンセプト
皇帝ペンギンは南極では秋にあたる3〜4月頃、海岸から50km〜100kmほども離れた内陸部の氷原で繁殖するという。
極寒の地の最も厳しい季節に、あえて内にこもり仲間と身を寄せ合って生きる姿に、私は奈良人としてシンパシーを感じる。
現代アートに限らずあらゆる分野において、奈良は「待ち」の姿勢ではないだろうか。
厳しい冬に耐え、ひたすら春を「待つ」群れが何かに気づき、新たな地平に歩き出す事に想いを託すものである。
    ■個展・グループ展:
  • 2005年 グループ展「うごくかたち」 white cube osaka/city gallery (大阪)
  • 2006年 広島市立大学・漢陽大学(韓国)金属造形交流展 (広島・ソウル)
  • 2007年 A-21国際美術展 海岸通ギャラリーCASO (大阪)
  •       奈良県美術展 (奈良)
  •       日本+波蘭=現代芸術展 大阪府立現代美術センター (大阪)
  • 2008年 A-21国際美術展 Inselgarelie (ベルリン)
  •       個展「Whiteout」 Gallery H.O.T (大阪)
  •       グループ展「遊海なアート展」 なにわの海の時空館 (大阪)
  •       奈良県美術展 (奈良)
  • 2009年 グループ展「遊海なアート展」 なにわの海の時空館 (大阪)
  •       奈良県美術展 (奈良)

作品画像_三好剛生-01
作品画像_三好剛生-02




はじまり〜

さてさて凝縮のはじまりです。

NAP2010の3大柱の一つ、NAPグループ展をご紹介致します。

場所はとあるレトロビル、

今回のNAPのテーマでもある、ザ Great 盆地 フロンティア。

選考により選ばれた9名の新進気鋭作家達が、奈良という風土をコンセプトに組み入れた作品を展示していました。

数十年間放置されていた4階立ての築50年のビルの内部の掃除が今年の夏の思ひで。
汗をぽろぽろ流し、この空間の重要性を確信しながら実行委員と作家は頑張りました。

まず一人目は2階迄の階段に設置された、塚本佳紹氏による「愛と表面張力」。





階段の壁に投影された陰陽のある映像。
無臭ですが実に味わい深く色々な香りがしました。
人の視覚と嗅覚、その他感覚のつながりの働き。

2階、3階のトイレには、同じく塚本氏による装置。
鑑賞者がビー玉を落とす度にインスタレーション。



なんだか美的。
万華鏡よりもシンプルで、ランダム。

そしてリアル。


つづく。


NAP ツカヤマ





塚本 佳紹 (つかもと よしつぐ)

1977年 東京生まれ

タイトル
『 愛と表面張力 』
水、光、ゼラチン表面張力や経過を利用した現象を提示できる素材、8mmフィルム

コンセプト
排除されるべきものが美しく振舞える環境が作品コンセプトです。
水槽を奈良の「盆地」に例えますと、水をいっぱいに張った水槽は今まさに表面張力で均衡をとりつつも溢れようとしている。初めに水面の均衡から追いやられる濁りや灰汁、底に沈む澱が美しく見える作品を作ります。時間の経過が生んだ滲み、淀みが瞬間の揺らぎや煌きのように美しく感じる空間を作ります。
さらにその過程をパフォーマンス作品として提示します。
    ■略歴:
  • 2006年 『シロベニア展』(インスタレーション、銀座)
  •       『パースペクティヴ・エモーション8』(パフォーマンス、東京)
  • 2007年 『即興遊泳』(パフォーマンス、名古屋)
  •       『映画は逃げてしまった』Watarase art project(パフォーマンス、群馬)
  •       『農動的宇宙像』(パフォーマンス、東京)
  • 2008年 『Clate』(パフォーマンス、パリ・モンバール)
  • 2009年 『キリンの夢』(パフォーマンス、奈良)

作品画像_塚本佳紹-01
作品画像_塚本佳紹-02



















2010年10月11日月曜日

時の重さ、濃度

NAPも本日最終日を迎えました。

時間はよく長さで表されますが、この10日間は時の重さ、濃度をとても意識させられます。

奈良県下およそ90カ所に展示された作品から、そして産み出した作家たちの思いが、空気にも、時にも溶け出して、会期中、日に日に濃くなっていく現代美術というエッセンス。

盆地に己の意思で閉じ込められるように漂っています。

それらが、街や人に吸収され、浸透していきますように。

いよいよカウントダウンです。

凝縮も始まりました。

NAPはどんな味がするのでしょうか。

是非一人でも多くの方に味わっていただければと願います。


NAP ツカヤマ

2010年10月9日土曜日

毎日、奈良のどこかで、

NAPも残すところあと3日となりました。

金木犀の香りがあちらこちらから漂うこの頃、今回は、奈良の街のどこかで毎日行われている“表現”についてご紹介致します。

パフォーマンスアーティスト、machiさん。

パフォーマンスアートの分野でもそのスタイルは様々ですが、主に自らの身体を使い、その場の持つ作用も重要な要素として表現を形作る一部となります。
偶然性も作品の成立には欠かせません。

もちろんその場に居合わせた方からの作用、あるいは与える作用も未知数です。

今回のmachiさんの取り組みは、

「NAPの会期中に毎日1パフォーマンス、
 奈良のどこかで。

 開催日時・場所は
行為直前にインスピレーションによって決定するため、事前告知をしない。
まったく目撃される可能性のない自宅自室のみ、行為場所としてNG。

感覚は偶然に・または不在、
目立たない・あるいはひそかな行為、
または日常動作にパフォーマンスを紛れ込ませる行為、
極端に短い時間の行為、など。

パフォーマンスを『みせる』手法から
はなれたものを毎日どこかで。」

machi


私はこの行為の存在を、とても大切に感じています。


目撃された方は、日常が少し脱皮するかもしれません。


NAP ツカヤマ

2010年10月7日木曜日

しりあがり現象!もうすぐ!

NAP2010音楽イベントのお知らせです。

10月9日(土)とある元印刷工場跡で一夜限りの宴を開催致します。




出演は
NAP2010招待作家でもあるしりあがり寿氏参加のOBANDOS(安斎肇、朝倉世界一、白根ユタンポ、高橋キンタロー、薙野タカヒロ、なんきん、ミック・イタヤ)、同じく東京から様々な事象を音楽へとプログラミングする萩原佳明氏とニンテンドーDS、ipodなどを使ったパフォーマンスで活躍するファンキーテクニシャン、サイモンガー・モバイルも登場!

奈良(関西)側からは実験ジャズグループ、SJQ(samurai jazz Quntet)、パフォーマンス集団S+PACの加入で、実験的+即興的な音楽イベントとなっております。


是非覗きに来てみてください!

皆様のご来場をお待ちしています。



出演アーティスト詳細
http://www.nara-art-prom.com/event/shiri-gen.htm


詳しくはNAPブログ、HPをご覧下さい。
http://www.nara-art-prom.com/event/index.htm#shiri-gen

http://nara-art-prom.seesaa.net/article/163655822.html



    記

NAP2010音楽イベント「しりあがり現象!」

  2010年10月9日(土)
会場:奈良・もいち堂[(株)明新社 旧工場]
(もちいどのセンター街すぐ、NAP本部より徒歩1分)
開場17時 終演21時(予定)
料金:メール予約:2000円 / 当日2500円
NAPオリジナルTシャツ着用で当日料金から500円引き

*予約受付は終了致しました。

*

2010年10月6日水曜日

コテンパンダン展より 其の②

東京を拠点に活動を続ける擬態美術協会と奈良県在住の作家鍵 豪による2人展が、
ならまち格子の家と奈良市馬場町にあるcafe sample 2F white roomの二カ所をで行われています。

今回はcafe sample 2F white roomの展示の様子をご紹介。
普段は現代音楽等のイベントが開催されている国内でも貴重なスペースです。

なかなか刺激的な空間。


身体の内側に浸透していくような光。
周りの空気を染めています。












空気、時間、重力、温度・・・・・などなど。

その存在を知るために産み出されてきた道具を見たりする事で、世の中、社会が成り立っている部分は少なくありません。


私たちが音を聞くという事は、ある意味では、今と過去、そしてその間の成立によるもの。

そんな事をふと思いながら、五感を統合する何ものかの働きを感じながら。

そこには日常の中に存在する目に見えないもの達が確かに居ました。

展示空間に身を置き、知覚によりインプットされた情報は最終的には心のどこかにたどり着きます。

GITAI+KAGI/2人展×2
2010年10月2日(土) ― 10月11日(月) 
sample white room13:00~20:00
ならまち格子の家10:00~17:00
2会場同時開催他(奈良)
10/3sun 14:30~ 10/10sun 18:00~の両日イベント有り

http://www.geocities.jp/gitaiau/

NAP ツカヤマ